CCDカメラとは…

著者: 酒井 弘一

Contents

1. 動作原理
2. 特長

CCDカメラ画像左から

3. 使い方

PI-MAX

4. 使用上の留意点

NTE/CCD

5. 今後の見通しと課題

LN/CCD

 

【動作原理】

約10年程前の極微弱光検出器として代表的なものは、光電子倍増管や、イメージインテンシファイア付ホトダイオードアレイ検出器などでした。

前者の光電子倍増管は、光電面にて光を電子に変換し、電子倍増管にて約104〜105倍程度増幅し、電流として信号を出力するものです。ホトンカウンティング法を用いると、1光子の光信号でも識別できるような非常に感度の高い検出器です。

後者のイメージインテンシファイア付ホトダイオードアレイ検出器は、光電面-MCP(マイクロチャンネルプレート)-ホスファーから構成されるイメージインテンシファイアに、ホトダイオードアレイ検出器を、オプティカルファイバー窓を介して接合させたもので、光電子倍増管とは違い、512または1024チャンネルの光情報を同時に検出できるものでした。このような検出器をマルチチャンネル検出器といいます。
イメージインテンシファイア付ホトファイオードアレイ検出器をI・PDA検出器と呼びますが、イメージインテンシファイアのめざましい開発の末、光電子倍増管と同等の性能で測定できるようになってきています。

しかし、これらの光電子倍増管やI・PDA検出器は、同じ種類の光電面を使用しているために、光電面の量子効率が高くても10〜15%であり、システムノイズがないと仮定してもS・N比は光電面のホトンショットノイズが原因であまり高くできないという問題がありました。

このために、一躍脚光を浴びたのが、CCD検出器です。CCD検出器の光電面はシリコンであり、図1に示すような高い量子効率を示します。高いものでは、90%以上のものもあります。90%の量子効率の検出器と10%の量子効率の検出器のS/Nは、3倍も違います。(√90/√10)S/N比α√tの関係からCCD検出器は同じS・Nのデータを取る速度は従来より9倍も早いということになります。

もし、今現在、1週間に1データしか取れていないような微弱な光の計測をされている方がいらっしゃったならCCDをお考えになられたらいかがでしょうか?
理屈では1日に1データ以上は、取れるようになるはずです。

図1

 

また、CCDはマルチチャンネル検出器でもありますから、同時に、多波長又は多位置の光をとることもできます。光電子倍増管を使用して、1度に1波長又は1ヶ所の信号を検出し、繰り返しデータの取り込みをおこなわなくてはならないような光電測光と比較すると、CCD検出器を使用した場合の測定時間は、9倍どころではないことが、ご理解いただけるでしょう。

 

CCD素子の構造(フロントイルミネイト型CCD)

図2

上の図(図2)は、フルフレーム型のCCD素子のアーキテクチャーを示します。矢印は電荷の転送の状態を示します。電荷を輸送するために、素子上にあるGate(電極)をスイッチングして電子をシフトレジスタに輸送し、シフトレジスタは外部に電荷を出力します。

図3

上の図(図3)はピクセルの構造を示したものです。3フェイズの素子は、1つのピクセルを3つの電極により形成します。

図4

上の図(図4)は、CCD素子の断層図です。CCDのピクセルは、電極、酸化シリコン、シリコン層から形成されます。光は、ポロシリコン電極、酸化シリコン層を通り、ポテンシャルウェル層に蓄電されます。

 

  1. 検出器の性能を決める項目

どのような特性が、極微弱光を測定するのに考慮しなければならないか、また、良い検出器とは、どのような検出器なのでしょうか。

  • 量子効率:光電面で光が電子(pe-)に変換される効率(% mA/W)。波長によって変換効率は変わる。
  • 感度:アナログデジタル変換後に、1pe-がいくらになるかを表わす。(カウント/pe-)
  • 素子数:CCDの素子の数、例えば、横576×縦384であれば221,184素子になる。
  • 素子の大きさ:CCDの素子の大きさ、通常20μm×20μm程度
  • 位置分解能:非常に微小な光スポットをCCDに当てた時の信号のにじみ。(FWHMの素子数で表わす)
  • 幾何学的歪:縦、軸に並んでいる素子がどのくらい歪んでいるかを素子数で表わす。
  • リードアウトノイズ:CCD素子の電荷を読み出す時に発生するノイズ。カウント数又は電荷数で表わす。CCD素子内部、制御系のアナログ回路、アナログ・デジタル変換器内部で発生するノイズのトータル。
  • ホトカソードノイズ:光電面の熱雑音。光がまったく当たっていないのに発生するノイズ。カウント数又は電荷数で表わす。
  • ダークチャージ:CCDの光電面の下にある井戸(Well)に発生する暗電流。カウント数又は電荷数で表わす。
  • リニアリティー:光強度とそれに伴う出力値の直線性。誤差を(%)で表わす。
  • 感度の一様性:CCDの光電面に一様な光を当てたときに出力値がどのように変動するかを平均値と標準偏差の比で表わす。
  • 制御温度:CCDの冷却温度。℃で表わす。
  • 温度安定性:設定した冷却温度と実際の温度との違い。℃で表わす。
  • ゲート幅:素子にかけるシャッタースピード。nsecで表わす。

良い検出器とは、以下のようなものです。

      1. 量子効率が高い。
      2. ダイナミックレンジが高い。
      3. リードアウトノイズが低い。
      4. ダークチャージが低い。
      5. 感度が高い。
      6. 素子が大きい。(位置分解能とトレードオフ)
      7. 位置分解能が小さい。(感度、S・Nとトレードオフ)

この他にも、先に示した項目について考慮しなくてはなりません。これらの項目が明示されていると、使用する検出器が、どのくらいのS・N比で測定できるか見積もることができます。通常、上の条件がよければよいほど検出器の値段は高いようですので、測定対象の光の質から、検出器の種類を決めて行くことが必要となります。良すぎるものは必要なく、悪いものでは、データは取れません。

次に、以上の項目の数値を用いて、S・N比を例を用いて考えてみます。

 

  1. S/Nの理論計算
CCD検出器の信号・雑音比は、次のような式にて、表わすことができます。 信号=量子効率×感度×ホトン数・・・・・・・・・・(1)

トータルノイズ=(Nr2+ND2+Nph21/2・・・・・・・(2)

Nr:リードアウトノイズ(カウント/スキャン)

ND:ダークチャージノイズ(カウント/秒/素子)

Nph:ホトンショットノイズ(カウント)

  1. 信号(SIGNAL)
  2. 光検出器に入射した光は、パソコンのCRT上に、数値として表わされます。この数値の意味が(1) 式で示されます。すなわち、信号は量子効率とホトン数と感度の積になります。

    例1 信号の見積り

    1秒間に1ホトンの光がCCDに当たっており、1000秒間CCDを露光させたとします。量子効率が40%、感度が0.1カウント/pe-とすると、

    信号=0.4×0.1×1ホトン/sec×1000sec=40

    CRT上に40カウントの信号が表示されます。

  3. ノイズ(Noise)
  4. CCD検出器のノイズは大きく分けると、リードアウトノイズ、ダークチャージノイズ、ホトンショットノイズです。トータルノイズは(2)式で示されます。

    1. リードアウトノイズ
    2. リードアウトノイズは、CCDから蓄積されている光電子を読み出す時に発生します。冷却型CCDのリードアウトノイズは、1回の読み出し(スキャン)に対して、4e-〜7e-程度になります。(最近、当社の1340シリーズは2e−に到達しました。)

      一般的に、感度を4e-〜10e-/カウントに設定している理由は、リードアウトノイズの値からです。リードアウトノイズを小さくすればするほど、感度を高く設定でき、良い検出器になります。

      リードアウトノイズの値から、CCD検出器の感度と検出限界の概算を求めることができます。仮にリードアウトノイズが10e-の場合を考えてみます。ノイズのピークトゥピーク値は、約30e-になります。これは、リードアウトノイズ値が標準偏差値を用いているためです。検出限界をS・N比の3倍と仮定すると90e-の信号が検出限界となります。これは、CCDの量子効率を40%と考えた場合、225ホトンに相当します。CCDを使用する場合、225ホトンの光が光電面に当たるまで待たなくてはいけないということです。

      リードアウトノイズが2e−のカメラと10e−のカメラの性能は、感度で5倍、ダイナミックレンジでも、同じウェルサイズが同じであれば、5倍になります。

    3. 感度
    4. 検出システムの感度を上げるのは非常に簡単です。1カウント/pe-の感度の検出システムを100カウント/pe-の感度のシステムに改造する最も簡単で安上がりな方法は、パソコンにデータを取り込んだ後で、100を積算するのです。こうすれば、非常に簡単に超高感度システムは出来上がります。

      しかし、この方法では、信号が100倍になるのと同じく、ノイズも100倍になり、S・N比は変化なく、ダイナミックレンジもまったく同じです。

      感度が高ければ、良い検出器とは云えません。ノイズを少なくすることで感度が高くなっていきます。

    5. ダイナミックレンジ
    6. ダイナミックレンジは、CCD素子のウェルサイズとリードアウトノイズとの関係に依存します。ウェルサイズとは、CCD素子の中の1素子が保持できる電子の数です。例えば、ウェルサイズが500,000e-で、リードアウトノイズが10e-であれば、ダイナミックレンジは約50,000になります。ダイナミックレンジは、アナログ・デジタル変換機のビット数に代表されるカタログに記載されていますが、CCD自体のダイナミックレンジと、アナログ・デジタル変換機のビット数では、CCD自体のダイナミックレンジの方が大きくなくてはなりません。

      このように、リードアウトノイズはCCD検出器の感度とダイナミックレンジと密接な関係を持っています。

    7. ダークチャージノイズ
    8. ダークチャージノイズとは、CCD検出器に、まったく光を当てない状態で発生する電荷によるノイズです。CCD検出器は、ダークチャージノイズが非常に多く、これが、微弱光測定における最大のノイズになります。市販のビデオ用CCDカメラの感度・S/Nを向上できないのもこの理由からです。極微弱光を測定するには、液体窒素で-100〜-140℃に冷却し、ダークチャージを抑制します。この冷却のために、ダークチャージを10e-/時間/素子以下に抑えることができます。その結果、1時間くらいの蓄積時間では、ダークチャージノイズを無視することができます。

      数10秒から数分の露光時間で計測できるような比較的強い信号のときは、電子冷却素子を使用して、-60℃くらいに冷却できるCCD検出器があります。ダークチャージの量は、4〜6℃の温度変化に2倍ずつ変化し、たいへん冷却温度に関係します。

    9. ホトンショットノイズ
    10. ホトンショットノイズは、光電面で生まれる量子化雑音です。例えば、100pe-の信号が光電面で生まれると、この時のホトンショットノイズは(100e-)1/2=10e-となります。

      ノイズの少ない検出システムでは、ホトンショットノイズだけでS/Nが決まったときは、S/N=S/√Sとなります。この状態はシステムノイズを無視でき、最良のS/Nになります。

    11. トータルノイズ
    12. (2)式を用いてトータルノイズとS・N比を計算します。

      トータルノイズ=(Nr2+ND2+Nph21/2

      Nr=10(e-/SCAN)

      ND=(10e-/hour/素子×1000/3600×100素子1/2=16.6e-

      Nph=(1000秒×1ホトン×0.4(QE))1/2=20e-

      トータルノイズ=(10e-2+16.6e-2+20e-21/2=27.8e-

      感度が0.1カウント/pe-なのでトータルノイズ=2.78カウント
      S/N=40/2.78=14.39となります。

      図5

【特長】 

極微弱光検出CCDカメラの種類は下の表1のようになります。冷却方式には、大きく分けて、電子冷却型と液体窒素冷却型があります。

表1

電子冷却型は、ペルチャ素子を 用い、-50℃程度までCCDを冷却し、5〜10e-/pixel/secのダークチャージで、ある程度、光が強い時に使用します。液体窒素冷却型は、液体窒素を冷媒とし、-80〜-130℃にCCDを冷却し、1〜4e-/pixel/hourのダークチャージで、極微弱光領域で使用します。

CCD素子の種類としては、国産のものもありますが、極微弱光用としては、米国、英国製など外国製が主に使用されています。理由として考えられることは、マーケットが小さいのにもかかわらずCCDメーカの開発部門が対応しなくてはならないということのようです。極微弱光検出CCDカメラは、CCD素子そのものを製造しているメーカだけが作っているのではなく、主には、CCD素子メーカから、CCD素子を購入し、アッセンブルする会社により、製造されています。私の所属する日本ローパー社は、米国のローパーサインエンティフィック社(ホトメトリクス、プリンストン・インスツルメンツ、MASD<元、コダック>)が、アッセンブルした、極微弱光検出CCDシステムを日本にて販売しておりますが、メーカでは、いかに、性能の良いCCD素子を捜し出して、システムアップするかが重要な仕事になっています。また、当社は、CCD素子メーカーとタイアップして、新しいコンセプトのCCD素子を開発しています。

CCD素子は、素子数と構造によって数十種類のものが、極微弱光検出に使用されています。この中から、代表的なものを紹介します。素子数では、1340シリーズ(1340×1300、1340×400、1340×100)、1024×1024素子、512×512素子を代表として、いろいろな素子を使用したカメラが販売されています。

構造は、フロントイルミネイトとバックイルミネイトという2種類があります。フロントイルミネイトは、ウェルに貯まった電荷を読み出す為のGate(電極)を、光電面の上につけているタイプで、後者は、ウェルの下についているものです。Gate自身は、光学的には、フィルターとして働きますので、フロントイルミネイトタイプは、光を減衰させます。この為、バックイルミネイトタイプのCCDの方が高い量子効率になります。

 

図6

a.CCD素子の種類

  1. CCD素子は、フルフレーム型、フレームトランスファー型、インターライン型に大きく分けられます。

     

    図7 

    フルフレーム型CCDは、理化学計測向けには、もっとも、感度が高く、ダイナミックレンジが大きい、標準的なCCD素子です。読み出し時には、シャッターで素子に光があたらないようにする必要があります。

    フレームトランスファー型CCDは、受光するCCDとは別に、格納するCCDを別に配したタイプで、受光した光を一旦、格納するCCDに転送し、次の露光をしている間に、格納している電荷を読み出す構造です。シャッターを必要としませんが、2倍の面積のCCDが必要となります。

    インターライン型CCDは、受光部と格納部が一つの素子の中に配置されています。ビデオカメラのCCD素子などが、このCCD素子のタイプです。シャッターは必要ありませんが、ウェルサイズが小さいことや、開口数がフルフレームに比較して小さいことが問題になります。

     

  1. 分光用CCDカメラ
  2. 分光用カメラの特徴は、素子フォーマットが長方形であることが大きな特徴です。波長方向に長く、スリット方向に短くすることによって、素子の製造コストを下げています。1024×1024素子のCCDカメラを分光器に取り付けても、縦方向の上下の大半は、使用しないので、無駄です。CCD素子の価格は、面積に比例します。面積を小さくすることで、一枚のシリコンウェーファーからとる、素子の数を増やして、単価を下げています。

  3. 生体観測用カメラ
  4. 顕微鏡に取り付けて、生物の動的観測をすることや、極微弱光イメージを観測する用途で、冷却型CCDカメラの普及が急速に進んでいます。感度、解像度、処理速度が重要な性能になっています。

  5. カラーカメラ
  6. カラーカメラは大きく分けて、2種類あります。3CCDタイプまたはベイヤーカラーイメージングタイプです。顕微鏡に取り付けるカメラの一番多い用途は、フイルムカメラの代用です。また、デジタルカメラを使った動的観察によく使われるようになっています。

  7. X線カメラ
  8. 軟X線から硬X線領域に、X線CCDカメラが数多く使用されるようになってきています。CCDカメラの感度は、非常に高く、また、ダイナミックレンジが広いことが、他の検出器よりも優れている点です。

  9. 高速度カメラ
  10. 1秒間に100コマ以上のイメージをとるカメラを高速度カメラと呼んでいます。特に産業用に数多く使用されるようになってきています。自動車の衝突試験などや、半導体の製造工程管理などに幅広く使用されています。

     

I・CCD検出器

今までの説明の中には、一度も出てきていませんでしたが、イメージインテンシファイア付CCD検出器という非常に感度の高い検出器があります。

波長感度特性図を図5に示します。CCD検出器と比較するとI・CCD検出器は、量子効率は低いのですが、高速のシャッタリングが可能です。これをゲートと読んでいます。ゲート幅は、2nsecまで可能です。また、感度は、CCD検出器の1000倍程度まで設定でき、任意に調整することもできます。

その他、真空紫外用のイメージインテンシファイアもあり、これを使用すると、120nmの真空紫外光も検出できます。ヌードのMCP検出器と組み合わせることも可能でXUV光の測定、イオン、荷電粒子の測定も可能となります。

最近、GenWというイメージ・インテンシファイアが開発されました。光電面は、GaAsでできており、量子効率が50%以上で、シリコンとそれほど変わりません。また、分解能も従来の2分の1程度に改善されています。特に単分子蛍光測定などで、従来不可能だった新しいイメージがとられています。

図8 量子効率の図

【使い方】 

今まで、ご説明してきたように、極微弱光検出CCDカメラは、一種類しかないというものではありません。

大きく分けると、電子冷却型CCD、液体窒素型CCD、イメージインテンシファイア付CCD、の3種類です。この3種類の中から、どの検出器を選択するか決めるということになります。

光量が比較的多くて、時間に連続な光の分光測定又はイメージングには、電子冷却型が良いと思います。例えば、吸収測定、プラズマなどの発光測定です。

光量が非常に少なくて、時間に連続な光の分光測定又はイメージングには、液体窒素冷却型が良いと思います。例えば、ラマン分光分析、生物発光、顕微蛍光、ホトルミネッセンスなどの測定です。

時間的にパルス光で、短時間に計測したい場合や、背景光が強くて、ゲートをかけて、S・Nを改善したい場合は、イメージインテンシファイア付CCDカメラが適切であると思います。特にパルス光のイメージングやシングルショットの分光測定、イメージングには適切です。例えば、L.I.F.による燃焼解析、パルスホトルミネッセンス時間分解蛍光・吸収、パルスラマンなどです。

計測システムの構成は、検出器、コントローラ、パソコン、ソフトウェアになります。分光計測をする場合は、分光器、光学系が加わります。イメージ計測をする場合は、レンズや顕微鏡などの光学系が加わります。

検出器にはCCD素子と冷却機構が一体化され、電子回路が組み込まれています。コントローラは、検出器からの信号を増幅し、アナログデジタル変換し積算や記憶をおこない、パソコンとのデータ通信をおこない、露光時間や、素子のグルーピング(素子をグループ化すること)の数、ファストアクセス(データの送信を高速化するために素子を読み飛ばすこと)の数を制御します。パソコンは、市販のパソコンでデータの読み取りや、検出器の制御を行い、グラフ化、プリンターへの出力をおこないます。ソフトウェアは、かなり進んでおり、高速化、多様化しています。イメージングなどは簡単にできるようになってきています。

 

【使用上の留意点】 

極微弱光検出CCDカメラだけの性能で、より満足できる計測はできません。トータル的な性能に留意する必要があります。最も重要なことは、実績と経験です。ユーザのほしいデータを、すでに取ったことのあるシステムであれば、一番適切ですし、その時の計測条件を考慮することが必要です。

ソフトウェアは重要です。ユーザのほしいデータを取り込み、計算し、出力できることが必要です。処理速度と内容に留意すべきです。また、アプリケーションに合ったシステムであるかどうかの判断も必要です。

検出器、コントローラ、ソフト、パソコンをそろえ、次は、データを取ることになります。このとき、オプションが重要になります。例えば、光学系です。光ファイバを使用したり、レンズ系を使用したり、方法は、たくさんありますが計測装置は、構成部品の装置関数の積で、総合性能が決まります。オプション以外が90%の出来でも、オプションが10%のできであれば、0.9×0.1=0.09、総合性能は9%になってしまいます。オプションの装置についても、厳選しなくてはなりません。

 

【今後の見通しと課題】 

 現在、市販されている極微弱光検出CCDカメラの性能は、非常に優秀です。今後の見通しとしては、CCDカメラの波長が、より長波長に延びるということと、荷電粒子などの非常に短い波長での検出器として使用されていくことが予想できます。また、素子数の多いもの、例えば、1024×1024pixelsや、2048×2048pixelsや4096×4096pixelsの大型のものの使用が可能となっていること、転送速度の高速化、ダイナミックレンジが大きくなること等が実現されています。

 今後の課題は、CCD素子の欠陥を減少させること、ソフトウェアの高速化と充実化です。とりわけ、ソフトウェアは最も重要で、最も時間がかかり、決して終わることのない課題ですので、従事する人たちのご検討をお願いしたいと考えております。

最終更新日 2000/07/14