CCDカメラをシャッター無しで使用する場合の画像の流れについて

 

 CCDを使用して測定を行う場合、画像が流れるのを防ぐためにデータの読み出しは通常シャッターを閉じて(インテンシファイア付のカメラの場合にはインテンシファイアをオフにして)行いますが、アプリケーションによってはシャッターを使用しないことがあります。 シャッターがない状態でデータ読み出しを行う場合、CCDの読み出し時間が露光時間の3%を超えると、イメージであれば画面全体が多重露光を行ったときのように流れているのが目視で確認がきます。

 このノートではCCDカメラをシャッター無しで使用するときに起こる様々な現象のうち、私どもへのお問い合わせが多かったものについて解説をいたします。

 

 

 事例:CCDの中心部にスポット光を入射したままデータの読み出しを行うと、スポッ

トの上下にデータの流れが観測される

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           スポット光           流れ

(図1)

 

 CCDは垂直レジスタおよび水平レジスタをシフトさせてデータの読み出しを行います。

従って、図1左のようにCCDの一部(極端な例としては1ピクセル)に光を当てたままデータ読み出しを行った場合、下図のような流れが観測されると“錯覚”をしてしまうことがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(図2)

 

 以下、実際には図1右のような流れが観測される理由を説明します。

 

 ここでは話を簡単にするために、図3のような“1 X 3”画素のCCDを想定し、光は2の位置に当てるものとします。

 

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読み出しレジスタ

(図3)

 

@     =0でのCCDの状態(入射光なし)。

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A     光入射後のCCDの状態(以後、連続光)。

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露光された状態

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B     データを読み出すために、CCDのデータを垂直方向に(1ライン分)シフトします。

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1

   説明を簡単にするために、一番上のピクセルを4番(以下、5番・6番・・・)とします。

 

C     読み出しレジスタに転送されたデータを水平にシフトして読み出しを行います。

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1

  1番のデータを読み出している間に3番が露光されますので上図のようにCCD上の2ピクセルが露光された状態になります。

 

D     次のデータの読み出しを行うために、再度垂直シフトを行います。

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  読み出しレジスタには“露光された”ピクセル情報がシフトされてきます。

 

E     2番のデータを(水平シフトして)読み出します。

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F     更に垂直,水平シフトを行い3番のデータを読み出します。 これで最初の1フレームの読み出しが終了しました。

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3

  この1番〜3番のデータが、図4のようにディスプレイに表示されます。

 

 

 

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1フレーム目読み出し終了/表示

(図4)

 

G     同様の手順で4番,5番,6番のデータが読み出されます。

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 ディスプレイ上には2フレーム目のデータとして図5のように表示されます

 

 

 

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2フレーム目読み出し終了/表示

(図5)

 

最終更新日 2000/07/14