X線用CCD検出器

 

X線用のCCD検出器は、大きく分けて3種類あります。

軟X線用(SX)、軟―硬X線用(LCX)、硬X線用(SCX)です。

 

基本原理

軟X線ホトンや中強度のX線ホトンは、CCDのシリコン層で吸収され、X線―電荷変換がおこります。光との違いは、ひとつのホトンが吸収されると、たくさんのホトエレクトロンが生まれるということです。光の場合は、量子効率100%を超えることはありませんが、X線の場合は、100%を超えてしまいます。光の場合は、量子効率だけで、光の収率を考えますが、X線の場合は、X線の吸収効率と検出後の量子効率(DQE)で、考えます。

X線用CCD検出器の感度やS/Nは、吸収効率と量子効率の両方で考える必要があります。

 

各種CCD検出器の特徴

 

SX型

軟X線用の検出器は、背面照射型(バックイルミネイトCCD)を使います。軟X線のX線―電荷変換は、CCD表面近傍でおこります。エネルギーが小さければ、小さいほど、表面近くで光電変換されますので、背面照射型のCCDでしか、軟X線の検出ができなくなります。フロント型は、ポリシリコンゲートなどの構造上の問題で、低エネルギーの軟X線への感度はありません。

 

LCX型

フロントイルミネイト型CCD素子は、中エネルギーのX線への感度があります。しかし、エネルギーが高くなれば、なるほど、シリコン層の深いところでのX線―電荷変換がおこり、高エネルギー側の感度は、シリコン層の深さ(厚み)が深いほうが高くなります。そのため、RS社は、通常にシリコンではなく、抵抗の大きなシリコン(Deep depletion型)を採用して、エネルギーレンジを広くしています。

 

SCX型

硬X線CCD検出器の特徴は、CCD素子のシリコン層の厚みでは、通り抜けてしまうような高いエネルギーのX線を取り込む検出器です。

この検出器は、X線をホスファーにて、光に変換し、その後、光ファイバーにてCCD素子とカップリングしています。ホスファーの材質は、主にGdO2を使用しますが、Cslの使用も可能です。

光ファイバーテーパを用いると、口径150mm程度まで、撮像エリアを大きくできます。また、CCD素子を-50度以下に冷却することで、微弱なX線を捕らえることが可能です。

2000/10/12