時間分解計測法(PI-MAX)

 

当社のPI-MAXは、時間分解が可能な性能を持っています。PI-MAXの最も重要な性能は、時間分解ができるということと、感度が非常に高いということです。 時間分解性能には、ふたつの方式があります。第一番目は、繰り返し現象をゲートを遅延しながら取る方式です。もうひとつの方式は、キネティクス方式(ストリーク方式)で単発現象を時間分解する方式です。

ゲート遅延方式

PI-MAXカメラは、高速のシャッターをきることができます。最速で1.5nsecのシャッタースピードに到達します。しかし、繰り返し速度は、CCDの読み出し速度で決まってしまうために、シャッターは高速なのですが、単発現象の時間分解能は、数十Hzから速くても数百Hzになってしまいます。繰り返し現象の場合は、シャッターを少しづつ(nsec)遅延させることによって、時間分解能をnsecオーダーにすることが可能です。この時間分解機能は、自動的におこなえるようにWinspc32ソフトウェアがサポートしています。繰り返し現象の場合は、積算をしながら自動時間分解をおこなえるように設計されています。

 

キネティクス方式(ストリーク方式)

PI-MAXカメラはストリークカメラのような使い方ができます。通常の使用方法では、CCDはAD変換器の速度で、取り込み時間が決まります。例えば、512x512素子を1MHzのAD変換器で読み出せば、約0.25秒の時間がかかってしまいます。しかし、CCD素子はそれ以上の速度でラインをシフトすることができます。CCDの横方向をX、縦方向をYとすると、X列をY行方向に読み出していくのですが、Y行方向にシフトさせるスピードは、速いCCD素子だと1usec毎にシフトすることができます。このスピードで16bitsのAD変換器は動作しません。また動作しても、16bitsのダイナミックレンジが確保できません。キネティクスモードは、CCD素子を1usecで高速にシフトさせ、シフトし終わった時に、ゆっくりとAD変換します。光は、CCDのY行の一番上の列だけにあたるようにします。その方法は、光学的な調整によっておこないます。Y行の一番上だけに光があたるように光学的に調整しておき、外部からトリガ信号を受けたら、すぐさま、シフトを1usec毎におこない、512回、Y方向にシフトをおこない、シフト終了後に、AD変換をします。このような特殊な動作をさせることによって、単発現象を1usecの時間分解能で、512回取ることが可能になります。この方式をおこなうにあたって注意することは、分光をする場合は、Y行の一番上の1列にだけ光があたるように光学調整をすることです。2列にあたってしまうと時間分解能はY軸のシフト時間の倍になってしまいます。できれば、Y軸の一番上以外のCCDはマスクなどで光があたらないようにする必要があります。また、常に非常に強い光がY軸の一番上にあたっていると、そのCCD素子が飽和してしまい、電荷が他の素子ににじみ込んでしまうことがあります。できるだけ、はじめから光があたらないような考慮が必要になります。

2000/10/12