CCD用UVコーティング

 

通常、CCD素子はUV光を感じません。とくにフロントイルミネイト型CCD素子はUV光を感じません。その理由は、フロントイルミネイト型CCDの電荷輸送をおこなうための電極の材質がポリシリコンというもので、このポリシリコンゲートがCCD素子の表側、光を感じる面についているからです。ポリシリコンは、UV光を吸収してしまい、光をCCDのシリコン層に通しません。そのため、UV光への感度がありません。

このため、RS社は、ポリシリコン上にルモゲンという化学物質をコーティングして、UV光をVIS光に変換して、UV光への感度を高めています。

 

背面照射型CCD素子(バックイルミネイト型CCD)は、UV光に対する感度を持っています。しかし、BI・CCD素子には通常、ARコーティングをおこない、紫外、可視、近赤への感度を高める操作をしています。ARコートの厚さを変えることで、ターゲットの波長での感度がもっともよくなるように工夫をしています。しかし、このような工夫をすると、ターゲットの波長での効率はよくなりますが、ターゲットの波長から離れれば、離れるほど、効率が悪くなります。そのため、可視用ARコートをしたCCD素子は、紫外域での感度が著しく低下してしまいます。

また、UV・ARコートをしたCCD素子は、最近の研究によって、温度を下げるとその効率が著しく悪くなっていくことが解りました。このため、RS社では、自社開発のユニクロムという化学物質をVIS・ARコーティングのCCD素子にコーティングして、UVから可視、近赤まで、感度効率がよいCCD素子を提供しています。

 

最近のテクノロジーとして、ポリシリコンの代わりに、酸化すずを電極材料として、可視光や紫外光の効率をあげたフロントイルミネイト型CCDがあります。コダックの1401E素子などです。

また、電極に穴をあけて、光をシリコン層に多く取り込むタイプのCCD素子も出ました。EEVの256OEです。紫外の感度が非常によくなっています。

2000/10/12